吾輩に言わせれば

猫による人間についての若干の考察

    主人

    生成 AI にキリンの画像を作らせたがいまいちかわいくない。犬はかわいくできたのに。

    猫

    主人は、文字を食わせると絵を吐き出す例の機械に、今度はキリンを作らせたらしい。出来上がったものを見ると、なるほどキリンではある。黄色い。首も長い。頭には二本の突起があり、斑点まである。キリンとしての身分証明書は一通り揃っている。ところが、かわいいかと問われると、どうにも返事に窮するのである。

    何より顔が妙に憂鬱である。黒い目は「私はなぜこの首を授かったのでしょう」とでも問いかけているし、片手は何かを説明し、もう片手は遠慮がちに制止している。動物園の人気者というより、町内会の会合で予算案について発言している若いキリンである。

    主人によれば、犬はかわいく出来たという。犬というものは得である。耳を垂らし、目を丸くし、舌でも出しておけば、人間はたちまち「かわいい」と降参する。ところがキリンは、首が長い。角のようなものもある。模様もある。身体の設計そのものが、かわいさより先に「どうしてこうなった」を主張してくる。

    人間は面白いもので、自分で機械に「キリンを描け」と命じておきながら、出てきたキリンに対して「犬ほどかわいくない」と不満をいう。キリンからすれば、ずいぶん勝手な品評会である。しかもこの者、少々困った顔をしているせいで、主人の不満をすでに察しているように見える。そこだけは妙に賢そうなのである。