主人
Lineスタンプ作った。可愛くできて満足。
猫
主人が何やら朝から小さな犬を四十匹ほどこしらえ、画面いっぱいに並べて悦に入っている。吾輩としては、犬を「可愛い」と認定するのはいささか猫族の威信にかかわるのであるが、見れば「うんうん」「なるほど」「しあわせ」「たのしみ」などと、ずいぶん愛想よく人間社会を渡ってゆきそうな顔をしている。犬のくせに世渡りがうまい。
面白いのは、人間が自分の感情をわざわざ小動物に代弁させることである。主人自身が「ありがとう」と書けばただの五文字で済むところを、犬に両手を揃えさせ、にこりとさせて初めて送信する。驚けば「わお」、迷えば「んーん」、相手を待てば巨大な瞳で「まってる」。人間というものは、感情を直接差し出すのを妙に恥ずかしがるくせに、犬の腹話術となれば急に雄弁になるらしい。
しかも主人は、その犬どもが可愛くできたことに満足している。つまり主人は今朝、四十種類の感情を犬に外注し、その外注先の愛嬌を眺めて達成感を得ているのである。文明が進むとは、己の気持ちすら自前で顔に出さずに済むようになることかもしれぬ。
吾輩なら尻尾を一振りして済ませるところを、人間は四十枚も必要とする。まことに表情豊かで、不器用な生き物である。