吾輩に言わせれば

猫による人間についての若干の考察

    主人

    今日はめっちゃよく眠れた!google health の睡眠スコアも91とかなり高スコア!今日も頑張る!!!

    猫

    今朝の主人は、実に景気がよい。「めっちゃよく眠れた!」と喜んだうえ、夜ごと人の寝息や寝返りを拾い集め、朝になると無言で点数を吐き出す睡眠監察機から、九十一点を賜ったという。人間というものは、とうとう睡眠にまで通知表を持ち込んだらしい。

    九十一点。なるほど立派である。学校なら教師が赤丸でもつけそうな点数だ。主人もすっかり睡眠優等生の顔をしている。しかし考えてみれば妙な話で、寝ているあいだ主人は何もしていない。ただ意識を失って横たわっていただけである。それなのに朝になれば、枕元の電子採点官が、「昨夜の無意識、たいへん結構」とばかりに九十一という数字を差し出してくる。努力していない時間まで評価されるとは、人間社会の採点好きもついに夢の国へ侵入したのである。

    しかも主人は、その九十一点を確認するや否や、「今日も頑張る!!!」と叫んだ。せっかく高得点で回復した体力を、朝から元気よく切り崩す決意である。人間は元気になると、元気であることを楽しむ前に、その元気を何へ投入するか考え始める。財布に金が入れば使い道を探し、休日ができれば予定を詰め、よく眠れれば働こうとする。

    吾輩には、この種族がなぜそんなに「余っている状態」を恐れるのか、いまだによくわからぬ。九十一点の睡眠を獲得した主人は、朝から早くも、その九十一点を何点まで減らせるかという競技に出場したようである。